割烹ホスピタリティー 〜おもてなしの交差点で〜
こんばんは。
割烹馬目で女将として日々お客様をお迎えしていると、
思いがけずお客様とのやりとりの中で感動的な場面に出会うことがあります。
それは食事中のふとした瞬間に垣間見える、お客様からの「おもてなし返し」も呼ぶべき行為です。
たとえば——
私がお料理を置こうとすると、スムーズに置けるようにスッと箸置きや小皿を動かしてくださる方。
飲みかけの"とっくり”やカラフェを手に取って、空かどうか伺おうとすると、「中途半端でごめんなさいね。」と、笑顔で飲み干して差し出してくださる方。
そんな些細な気遣いは、こちらが恐縮してしまうほどです。
けれどその自然なふるまいには、決して押しつけがましさはなく、
むしろ「一緒に心地よい場をつくろう〜」という、静かで温かな意志を感じるのです。
上場企業の社長様、長年文化を支えてこられた方、名のある方々ともお会いする機会をいただきますが、肩書きやお立場をはるかに超えて、人としての深みを感じさせてくれる——そんな場面に、何度も胸がジーンと熱くなる思いです。
そして本当に素晴らしい方というのは、人への眼差し”が丁寧な方だと感じます。
女将という立場は、おもてなしをする側。
けれどこの店では、お客様から“おもてなしされる”ことも多々あり、
それは私にとって、日々を豊かにしてくれる学びであり、何よりの励みでもあります。
名付けるなら、
“割烹ホスピタリティー”とでもいいましょうか。
料理やサービスを越えて、お互いの気持ちが自然に交差する瞬間——
そんな尊い時間を、この小さな料理屋で大切にしていきたいと思っています。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
蒸し暑い日々が続きますが、体調管理どうぞお気をつけください。
割烹馬目女将
馬目 千晶